生きることに根差したキャリア

3人のパネルトークから始まった今回のセッション。ゲストとして招待された細山田さんと福満さんのコミュニケーション能力の高さに感動しました。会場に入った時に、安田学園の野球部の生徒が多数参加しており、「場違いなところに来てしまったかな」と思いましたが、いざ始まってみると、3時間という時間があっと言う間に過ぎていってしまいました。
三村先生のキャリア理論は「職業」を中心に考えていくものですが、細山田さんと福満さんのお話は、もっと広いところにまで渡っていました。
細山田さんのお話からは、「自分を認めてもらえているという感覚」を持つこと、「周囲に支えられている」ということの実感し感謝すること、「自分にできることに挑戦する」ことの3つを「キャリアの柱」として考えていらっしゃることが伝わってきました。キャリアを作っていく上で、多様な大人と関わっていくことが大切だというお話も伺いました。いろいろな人との出会いが自分を作っていく。そういう考えが、細山田さんのコミュニケーション力を形作っているのだろうなと感じました。
福満さんのお話からは、「今やっていることに全力を尽くす」ことの大切さを感じました。今のことに全力を尽くすことで、その後のことが見えてくる。裏返せば「今に真剣に向き合わなければ、何も見えてこない」ということでしょう。「今を生きる」ことの大切さを、改めて教えていただきました。福満さんの提案された「企業と学校との連携」は、正に子どもたちが多種多様な大人と出会う場所を提供してくれます。当然のことながら、イベントには「表の目標」があります。でも、「裏の目標」には、もっと大切なものが隠されているように思えるのです。そういう「裏の目標」が、「生きる力」となっているように思えるのです。
三村先生のおっしゃるように、「生きること」と「職業」を切り離すことはできません。でも、社会には厳しい現実があります。人にやさしい社会を実現していくには時間がかかります。子どもたちが社会に出るまでに、やさしい社会になっているわけではありません。子どもたちは、理不尽な社会にそのまま追い出されてしまうのです。子どもたちを社会に送り出すうえで、「理不尽な世の中でどう生きていくのか」ということを考えてもらうことも、キャリア教育の大切な側面なのではないかと思っています。

投稿: 小峰 秀樹