カットイメージ池袋講座の報告

カットイメージ池袋講座のご報告です。

 2017年 11月23日(木) 勤労感謝の日
 アットビジネスセンター池袋駅前 本館 803会議室
(1)10:00~12:30 カットイメージ読解法体験講座
(2)14:00~16:30 カットイメージ読書会 梶井基次郎『檸檬』

(1)カットイメージ読解法体験講座

 参加者は来春から中学や高校の教員になることが内定している男女3名の大学生、大学院生の方々と、出版社勤務の男性2名の計5名で実施しました。
 カットイメージとは何かを、映像も活用した具体的なワークで体験的に理解していただいた後、それを活用して短編小説を読み、和気藹々とした雰囲気で進みました。
 皆さんの感想の一部をご紹介します。
 
①私自身、とても楽しみながら体験させていただきました。実際に他の人のイメージなどを聞くことで、自分とは違う視点で小説を読んでいることがうかがえたり、自分の考えを発表して先生にフィードバックをいただくことで、ぼんやりと考えていたことを言語化することができました。ぜひ、今後のプライベートの読書でも、授業でも使わせていただきたいと思います。(大学院生 女性)
②カットイメージ読解法は、小説を読むことのおもしろさを、作業を通して実感できる方法だと感じた。詩歌はもちろん、小説にもある読みの余地をまずは自分の中で整理し、その上で交流することは、読むことのおもしろさを実感するきっかけになるのではないかと思った。講座内容はパワーポイントにまとめられ、とてもわかりやすかった。また、配布資料もあり、復習しやすくとても助かった。(大学生 男性)
③私自身が無意識で実践していたものを生徒に読解術として伝える方法を知ることができた。この読解法は、今後、積極的に取り入れたい。講師の進め方はわかりやすく、フレンドリーに説明をしていただいた。よい雰囲気だった。映像→小説という流れでステップアップできてよかった。最初から文学作品を扱うとなると難しいので、スモールステップで進んだのがありがたかった。自身の実践方法としてのみならず生徒への教授法として用いていける自信がついた。(大学生 男性)
④普段の読書では走り読みで済ませてしまうことが多く、少し時間がたつと、詳細を忘れてしまっていることが多い(加齢による記憶力の減退のせいだけでなく)。今後の読書ではカットイメージを意識して精読するということを実践してみたいと思った。イメージ力を強化することにもつながると思う。(出版社勤務 男性)
⑤映画・映像の監督(編集)作業を疑似体験できた感じで、楽しい体験でした。映像を題材にされた点が、カットイメージの理解を深めるアイデアとして秀逸だと思いました。自分自身、読書が進まない(集中できない)理由は、イメージがうまくできていない(やっていない)からだったのだと気づき、「目からウロコ」でした。(出版社勤務 男性)

(2)カットイメージ読書会 梶井基次郎『檸檬』

 午後の読書会には、午前中のメンバーのうち、出版社勤務の男性が1名帰られた他は、引き続き参加いただき、さらに常連の女性(小学校の先生)1名が加わりました。
 最初は、イメージ体験を深める導入ワークで、互いの読みの違いを楽しみました。
 そこから、梶井基次郎『檸檬』について節ごとにイメージを語り合い、その後、話し合いたいテーマ(疑問)を出し合い、議論を深めていきました。テーマは自然と「檸檬とは何か」に絞られ、互いに読みが深まる学び合いができたと思います。
 皆さんのご感想を紹介しましょう。

■梶井基次郎『檸檬』について

〇初読では、主人公の行動が理解しがたく、小説のテーマもわからなかったけれど、カットイメージの視点をもって細かく読むことで、主人公の気持ちに寄り添いながら読み進められたと思います。
〇とにかく「檸檬」が何なのか、そこを考え込んだ。作者が意図したことは何か。教師用指導書などに頼りきりでは得られない部分に視野が広がった。
〇「私」の人物像など、深めることでさまざまな発見があった。檸檬=手榴弾はとても考えさせられた。私も日常の中の「檸檬」を探してみたい。

■読書会の感想

〇午前のカットイメージ読解法体験を活かして、午後の部に臨んだため、色彩や事物の形状に目を向けられた。私にとって、これは大きな前進で、以前は人物や景色のなんとなくのシルエットのみを想像して読んでいた。そのため、インクの染みである文字・文章を鮮明にイメージできる術を知れた。
〇一つの作品を複数の方々と読むことで、これほど深まるのかと感動した。大学では一人で研究することが多いので、こうしていろいろな方と同じ作品を通して話し合えたことはたいへん貴重な経験だった。また機会が合えば参加したい。
〇(午前中を含めて)長時間でしたが、飽きずに取り組めました。イメージは、人それぞれなので、さまざまな人の想像、思いを聴くのは、貴重で楽しい経験でした。
〇導入ワークでは、皆さんのイメージを聞いて、こんなに違うんだという発見ができて、おもしろかったです。(勤務先の学校でも)いろいろ発想するのは好きな子が多いので、やってみたいなと思いました。
 
 いつもながら、私(教育エジソン)自身、いっしょになって楽しみ、気づかされることの多い1日でした。ご参加の皆様、ありがとうございました。

 次回の池袋講座の開催は、来年3月ごろを予定しています。
 その前には、都立高校の公開講座(毎週土曜日4回)があります。
 ぜひ、多くの皆さんにイメージして読むことの楽しさを体験していただければと思います。

投稿: 山崎 茂雄