子どもたちが輝くための脳科学
子どもたちが輝くための『脳科学・心理学』の知識-学校現場で生かせるものをピックアップ-
セミナーの講師:服部 剛典
「この子はこういうコだ」私は子どもたちをよく見ているという先生が陥りやすいこと
・変化盲(人間の脳は変化を認識することが苦手である→変化に気づきにくい)
・選択盲(人間の脳は自分が選択したものでさえ正確に覚えていない)
*レッテル貼りは誰しも脳の機能として行っていること。その思い込みを持ちながら、人の行動を解釈します。「ダメな奴だ」と思い込むとどのような行動も「ダメな奴がする行動」と捉えてしまい、生徒が成長するチャンスを見落とす可能性があります。
*別の表現をすると、同じ発言でも、「誰が言うか」によって重みが違ってきます。良く観ているものの「見落としていることがある」という認識が必要です。
「何度言っても改善が見られない」言葉かけ、話すことだけを大切にしていると起こりやすいこと
・ミラーニューロン(物まね細胞)(先生の言葉ではなく態度や行動をまねているのかもしれない→例えば、人の涙を見ると感動するなど)
・意識と無意識(人間の行動はほとんどが無意識のうちに行われていることが判明している)
*長い時間一緒に居れば演じ続けることは難しくなります。また、演技をすればストレスになります。誰かに大切にしてほしいことは、自分も大切にすることにより相手に伝わりやすくなります。それをチェックするために自分の状態を振り返ることやメタ認知(考えていることを考えること)は大切です。
「なぜそんなことをしたんだ?」私はきちんと原因を考えさせています
・恐れに対する反応(なぜ?どうして?と責めることにより、自己防衛反応が起こり、思考がストップしてしまいます。そして、その場から離れようと行動する可能性が高くなります)
・作話(なぜ?という問いは、「納得(本人・相手共)」を探しやすく本質を突く理由でないことが多いです)
*一般にあまり意識されていませんが、「なぜ?という問い」は「責任追及や納得したい」を目的にしている可能性が高い。過去を探るにしても、ありのままの「何が起こったか」は「次の手」を打てる可能性が出てきます。反省の目的を「次回へ向けたより良い行動」にし、未来の進歩に意識を向けてあげることが大切です。
過去の記憶が影響する
・一人の先生が「A君はこんな悪い態度をとったよ」と報告すると、次に自分がA君を見た時に「悪い態度をとったA君」として認識してしまう傾向が強い。
*「ダメ」な行動を見たときに、『もしかして』と、その行動を許せる理由を考えてあげるようなポジティブな態度をとることにより、冷静に思考することができ、「ダメな人間」というレッテル貼りを防ぐことができます。
思い込みが起こりやすい
・人の脳は錯覚を起こしやすい。錯覚からの思い込みもたくさんある。人は一度思い込んでしまうと、事実ではないことにも、勝手に理由付けてまでして、そうだと信じる傾向がある。現実をありのままに観られない。
*ときには、それは本当だろうかと立ち止まってみることも大切です。
現状を変えたくないという気持ち(脳の恒常性維持機能)が強い
・自分は自分で有り続けたいと強く思ってしまう=他人にも変わって欲しくないと強く思ってしまう(周りが変われば、その中の自分の存在も変わってしまうと恐れるから)
・「どうせ私は~だから、、、」といって変化できない子がいる。→変化できたことをその子が認識できるような、我々がその変化を受け入れていることがわかるような言葉がけをする。
*普段あまりできない生徒が正解したときに、「珍しいな!」は最悪。「よくできた。頑張ったな」など変化を肯定的に受け入れてやることが大切です。
*大人が変わることにより、子どもたちに、変化は可能という概念を見せてあげることができます。
*解釈の仕方がすべてです。そして、どう解釈するかは解釈する人の心次第です。基本的に子どもは未熟であるのでいろいろ失敗しますが、それらをネガティブにとらえて、しかるだけでは自己否定の方向に進みやすくなり、ポジティブに解釈して次の成功の糧にしてあげればどんどん成長していく。
*生徒はポジティブに接してあげれば成長していく可能性を持っていると信じてあげたい。
文責:大宮
投稿: 大宮 秀樹