未来にどうつなげるか~大盛況に終わった社会貢献教育オープンシンポジウム2018

 2018年3月17日、駒沢大学にて日本ファンドレイジング協会主催による社会貢献教育オープンシンポジウム2018が開催された。
 同時開催のファンドレイジング・日本2018の来場者も合わせて延べ300名が参加し、大変な盛り上がりを見せた。参加者には教職員などの教育現場で働く人の他、NPO、行政、企業などで働く方や中高大学生など様々な様相が見られた。
 当日のプログラム、登壇者、またその内容は以下の通りである。

プログラム

セッション1 (13:40-15:00)

「米国での社会貢献教育展開の実態~初中等教育で行われている社会貢献教育プログラムとカリキュラム最新事例」

  • Amy Meures (National Youth Leadership Council)

セッション2 (15:30~16:50)

「社会貢献教育は学校教育とどう連携できるか~学校が地域と取り組む最新事例と生徒の変化」

  • 高橋優介(北海道道民財団準備会)
  • 橋ケ谷多功(岡山学芸館高等学校)
  • 藤木正史(東京学芸大学付属国際中等教育学校 教諭)
  • 木暮里咲(東京学芸大学附属国際中等教育学校 5年)
  • 米原裕太郎(京都市ユースサービス協会)

セッション3 (17:20-18:40)

「社会貢献教育推進のメカニズムを二本で動かすために必要な事~学校での社会貢献教育をメインストリーム化させるための施策とは」

  • Amy Meuers (National Youth Leadership Council)
  • 荒木優(私立札幌新陽高等学校 校長)
  • 園崎秀治(全国社会福祉協議会 地域福祉部/全国ボランティア・市民活動振興センター副部)
  • 石田篤史(公益財団法人みんなでつくる財団おかやま 理事)
  • 大石俊輔(日本ファンドレイジング協会 寄付市場形成事業プログラムディレクター

内容概略

【セッション1:米国での社会貢献教育展開の実態~初中等教育で行われている社会貢献教育プログラムとカリキュラム最新事例】

サービスラーニングとは学びを通して生徒を本当の社会のニーズにこたえられるように育てるための教授法の1つである。より卓越したサービスラーニングは複数の学習領域をカバーする内容になっているため、主題についての深い学びだけでなく、科目間につながりがあることも学べる。サービスラーニングの主役は学生であり、積極性が大切となる。この教授法はこれからの時代に必要なスキルを育てる他、自己肯定感の醸成にもつながり、リーダーとしての自覚を促す。しかし、その効果を得るには内容の質そのものを高める必要があり、そのためには段階を踏んだ計画が必要である。米国では国家レベルでサービスラーニングを推進できるようにしており、同教授法を利用する教育者の教育等も行っている。サービスラーニングは若者をリーダーとして育てるための最高のツールである。

【セッション2:社会貢献教育は学校教育とどう連携できるか~学校が地域と取り組む最新事例と生徒の変化】

 充実した社会貢献教育を行うには子どもたちが自発的に参加し、考え、自分事として物事を捉え、経験していくようにすることが必須である。そして、そのようなプログラムを展開するには学校教育だけでなく、地域や(学校教育にとっての)外部機関と連携協力していくことが不可欠である。如何に潤滑に社会貢献を行うかについては10代ならではの視点や可能な事、逆に壁もある。生徒と大人が互いに意見を交わし考えを共有することで、学びが深まり、相互教育にも繋がっていく。生徒の積極性に対し、教員や大人が無駄に歯止めのみをかけず、サポートできるようにしていきたい。NPOだけでなく、学校だけでなく、生徒だけでもない。皆一緒に社会貢献教育を広げていきたい。

【セッション3:社会貢献教育推進のメカニズムを日本で動かすために必要な事~学校での社会貢献教育をメインストリーム化させるための施策とは】

 社会貢献教育は勉強のできる生徒だけでなく、そうでない生徒の自己肯定感の醸成につながる。その推進には、学校がNPOや社協を通して地域とつながり、出会いと体験の場をより多く用意する必要がある。社会貢献教育を学校で取り入れてもらうためには学校側の受け入れる仕組みづくりが必須。活動費用や機会の提供のほか、教師のサポートも重要になる。ヴィジョンを持ち、教師の意識を変え、スクールカルチャーを変えていく必要がある。その一環として、教師が自信を持って教えられるようにするために教師の教育から始めることが大事。小さなことでも一歩を踏み出す必要がある。

【まとめ】

様々な所属の方々と協働しながら、社会の色々な事を題材にしつつ生徒たちが自発的に学習できる環境を整えていきたい。

投稿: 大石 俊輔