教師自身の「学ぶ楽しさ」を子どもの「学ぶ楽しさ」に

生駒市で長く教員をされた西浦弘望さんに、
定年退職直前のこの時期に話をしてもらいました。
生駒市の社会科研究授業での実践をはじめ、
計3つの地域教材を例に、自身が大事にしてきたことと、
子どもたちにどのようなことを考えさせたいかを
具体的に話してもらいました。

歴史教育者協議会で学んできた西浦さんは、
若いころは先輩が自分の手で探してきた教材・授業を
実践報告で聞いても、「教科書だけで手いっぱいなのに
どこに実践する時間があるんだ」と質問していたそうです。
多くの自主教材を地元で発掘してそれを全国的に発信されている
現在の姿からは考えられず驚きました。

「奈良市で自動車の部品をつくっている企業があるらしい」という
情報から出発した2018年度の実践では、
組み立て工場がより条件のよい土地に工場を移すと、
それを追いかけるようにして関連した部品工場も
近くに移転するという仕組みを教材化し、
教科書や資料集だけではわからない「現地生産」の
メリット・デメリットを明らかにし、
機械工業をより立体的に子どもたちが学ぶことにつなげていました。

現在では、若い先生に向けて
「教科書を教える授業をできるところで圧縮し、
1年に1時間だけでいいから、教師としての自分が
子どもたちに教えたいことを考えて授業をつくってみませんか」
と提案しているそうです。
目の前の子どもたちのことを考えて、
教師である自分自身も「知りたい」と思うことを教材にする。
その楽しさが存分に伝わってきた学習会でした。

オープニングでは音楽の先生によるピアノ連弾もありました。
この学習会では、17名の教員が参加し学びを深めました。

投稿: 鈴木 啓史