CLILとアクティブラーニング研究会第7回<異文化間市民性と平和を考える外国語教育>
参加者はこのテーマに関心のある方ばかりでしたので、非常に盛り上がりました。3人の発表者のお話に、参加者は頷きながら聞き入っていました。そして最後の質問コーナーでは、以下のようなディスカッションが展開されました。
異文化理解を外国語教育に取り入れるのは大切、と理解している人が多い割に、「そのような活動をする時間がない」「やり方が分からない」「自分にはハードルが高すぎる」「教科書内容だけで精一杯」「小学校では異文化の人より身近な友だち同士の相互理解を深めた方が良い」「異文化理解を授業に取り入れることで返って偏見を生む可能性がある」などなど、なかなか理解して頂けない面もあるようです。実践者の先生たちは、このようなことを言われたことが、ままあるようでした。
しかし、発表者の方たちから、「大人でも偏見を持つ事はある」「いろいろな人がいることをまずは知ることが大事」「完璧に異文化を理解しなくても種をまくことが大事」「授業が異文化へ感心をもつきっかけになり、自分で深める」「まずは自分とは違う人がいることを知って視野が広がる」などなどのコメントがありました。
異文化の他者を知ることで、もっと、異文化のこと、外国のこと、異なった人々に興味を持つようになると思います。そしてそこから、外国語学習に対する興味関心にも繋がるのではないか、と考えます。逆に異文化についてよく知る機会がないまま外国語を学んでいても、試験などの外発的動機づけでは、意欲が減少し、実のある学びにはなりにくいのではないでしょうか。外国語の学びとは異文化の他者とのコミュニケーションのために必要であって、言語そのものに強い関心がある人なら外国語のスキルを伸ばすこと自体が目的化するでしょうが、AI翻訳もある時代に、コミュニケーションのイメージを持てないまま学びの努力を重ねるのますます難しくなる気がします。
また栄利先生の学校では、外国籍児童も実際増えているので、(日常的に指導が大変な時もあるが)日々の学校生活で、児童間の異文化理解能力が高まっている、とのお話もありました。
教員養成でも、外国語能力など知識技能の育成にのみ焦点を当てた指導力だけでなく、より幅広い視点から外国語授業の指導力を育成する必要があるだろう、という意見も出て、今後の教育・教員養成あり方を考える機会になり、色々勉強になりました。
投稿: 安達 理恵