外国語教育高度化に向けた小・中・高等学校教員の指導力向上プロジェクト④ 報告
授業のねらい
本時は、動物倫理(Animal Ethics)について、ディベートを取り入れた討論型授業で、スピーキング力を養う授業を行なった。動物倫理は,グローバルな場面でも問われることが増えてきており,日本の将来にも関わる重要な課題となっている。今回は,動物実験の是非について(もちろん高校生(及び教員も)直接の当事者ではないが)その医療など様々に受ける「消費者」として,改めて正面から考えてみることで,グローバル時代を生きる「エシカルでクリティカルな賢い消費者」となるために必要なことは何かを問うことにした。
また株式会社デジタル・ナレッジeラーニング戦略研究所 岡田 健志氏の協力を得て,「英語 4技能対応授業」実現 技能対応授業」実現 AIツール『トレパ』を用いたスピーキング指導を行なった。ディベートにおける質問POIに使える表現を,AIツールの支援を借りて練習し,ディベートの中で実際に使わせてみるという意図で実施した。
生徒の反応
ディベートでは(特に人権問題など倫理的な論件を扱う際には)「勝敗が決する」という点に,賛否が分かれるところだが,生徒たちは分かりやすく結果が出るところに魅力を感じていたようだった。事前準備でPros and Cons: A Debaters Handbookからの英文をかなり読ませておいたため,基本的な論点の整理とともに,今まで英語の授業などで学んできた表現を再確認することができた様子であった。
授業の工夫
今回行うディベートの形式に関しては,論題の難易度を考えて,次のような工夫をした。
本来のパーラメンタリー(即興型)ディベートは,ポリシー/アカデミックディベートとは異なり,特段の事前準備を必要としないものとされている。授業の冒頭に論題が与えられ,15分の準備時間を経てディベートを行う。ただし,今回は教科書で学習した内容を発展させたPost-readingの活動であり,また論題が非常に倫理的で難度の高いものである点から,日本語/英語での参考文献での参考資料の読解と論点整理の時間を設けた。
相手チームのスピーチ中に,質問やコメントを15秒以内で発言することができる。これをPOI (Point of Information)と呼ぶ。生徒には積極的にPOIをするように促した。分からない,聞き取れない点を聞き返すことが多かった。
アンケート結果
①授業公開・発表 について
大変満足2 満足3
②京都教育大学 西本 有逸教授による講話 について
大変満足1 満足4
(以下はアンケートに記載された原文ママ)
1.ご覧いただいた授業・発表に関して,何かお気づきの点がございましたらお聞かせ下さい.
・生徒達が実際に英語を使ってdebateしている姿は凄いと思いました。原稿を見たり,原稿を読んでいる場面もありましたが,真面目に議論しているのが素晴らしいと思います。Debateを楽しんでいる生徒が大部分だったことがすごいなと思いました。生徒達がなんとか英語で話そうとする姿が印象的でした。自分の想いや考えを表現できるためにも小中での積み重ねの大切さを感じました。
・生徒さんの生き生きとしたお姿,大変参考になりました。ディベートの運営方法について学ぶものが多くありました。
・Hグループの活動が目を引きました。「言葉をつむぐ」というのは言葉を通じてしかできないな,と。
・生徒のみなさんが先生に頼らず自主的に話し合いを進められていて感心しました。今日までのご指導があってのことと思います。
・先生が取り上げられた表現をどれだけ活用されているかが気になりました。
2.運営などに関し,お気づきの点などがあればお聞かせ下さい.
・事前連絡も丁寧にくださり,ありがとうございました。
3.全体を通じて,今回の研究会は,先生のご自身の学校における今後の教育実践,教育活動等に参考となるものでしたか.
・ややレベルが高すぎるが,参考になりました。
・初めて高校の授業を見せていただきました。小学校からSmall Talkを大切に,表現できる子にしていきたいと思います。
・西本先生の講話で身が締まりました。
投稿: 佐古 孝義