これでばっちり!新年度準備
【安定した学級をつくるための必須アイテム『学級経営ノート』】
新年度が始まる。子どもたちもそうだが、我々教師も「さらにいい学級をつくっていきたい」と期待に胸を膨らませている。理想の学級を作っていくための必須アイテム「学級経営ノート」を作ることが提案された。講座では、田村氏の学級経営ノートを紹介しながら、作成の際のポイントが示された。理想の学級像や子ども像を思い描くときには、固有名詞や数詞、動詞を盛り込み、行動している絵が浮かぶように書くことが大切である。そうすることで、それに近付くための具体的な手立てもはっきりしてくる。
この講座を受けて、実際に学級経営ノートを作成したり交流したりする演習が行われた。参加者は、学級像や手立て・システムなどを具体的に考えるきっかになったようだ。また、お互いに交流し合うことで、より多くの情報を得ていた。
【発達障がいをもつ児童・生徒がいる中でのルールの敷き方】
子どもたちにルールを守る意識を育てていくことは、安定した学級経営をしていく上で重要である。しかし、発達障がいをもった子どもたちに、何もかも同じように対応してルールを守らせていくことは難しい。本講座では、二つの事例をもとにどのように対応すべきか、それはどうしてなのかを参加者同士で意見交流をした。「自分の口で言わせる」「選択させる」という対応をとることで納得する。そして、選択した行動をしたことを褒めることで、行動を強化できるというよさが挙げられた。そして、対応のポイントとして、「集団では見逃さないが個別の時には見逃す」「クラス全体が納得する形で対応する」という二つが示された。
【保護者の信頼を勝ち取る方法10】
保護者からの信頼を勝ち取るための方法10が示された。大きく「授業」「事実」「姿勢」の三つに分けられると感じた。宮川氏は、日々の授業で勝負した。そしてそこから生まれる子どもの成長の事実をコンクールの結果や一筆箋、学級通信などで示し続けたのだ。このような事実を生み出していくことで、教師が努力している姿勢が保護者に伝わる。宮川氏は問題が起きた時は誠実に、謙虚に、そして普段は明るく元気に対応してきたのだ。ここで示されたポイントは一年間継続していかなければならない。宮川氏が最後に語った「学び続けることによって信頼を得る」という言葉が心にずしんときた。氏がそうしてきたからこその重みのある言葉だった。
【褒め方と褒めるタイミングで子どもが変わる】
同じほめ言葉でも、タイミングを逃してしまったり、言い方に気持ちが込めっていなかったりすると、その効果は半減してしまう。 岩清水氏が模擬授業形式で実際に褒め方のバリエーションを示すで、参加者は具体的にイメージすることができたようだ。実際にグループで褒め方の演習を行ったが、学んだことをその場でやってみようとがんばっている姿が印象的だった。知っているのとやってみるのでは、全く違うことを実感したに違いない。褒め言葉をたくさん実際に書き出してみること、タイミングを考えること、褒め方を状況に応じて変えてみることの大切さを実感することができた講座った。
【一学期の学級経営の重点を何にしていますか?】
学級集団には段階がある。教師自身が、現段階の学級の状態を見取り、段階によって指導を変えて行かなければならない。高橋氏は、四月のルールがまだ確立していない不安定な集団の段階での指導について、黄金の三日間をもとに提案した。学級のしくみをつくり、生活のルールをつくる、そして授業のルールをつくる。その趣意説明をし、ルールを守っている子を褒めながら、ルールを守るという集団にしていく。その際、教師対子どもだけでなく、小集団の中でもお互いに認め合う場を意図的に設けていくということが示された。新年度準備の時に、特に意識したいことであると感じた。
【田村代表特別講座】
田村氏が卒業にあたって、児童に送ったメッセージが二つ紹介された。一つは、模造紙4枚ぐらいはある長さの紙に毛筆で書かれたものだ。実物を見た参加者からは感嘆の声があがった。もう一つは、B4表裏にびっしりと書かれた児童の一年の成長と氏からの餞の言葉だ。教室での語りが再現された。しっとりとした声であるが、成長や生きていく指針があたたかく、そして力強く伝わってきた。児童が涙しながら聞いていたというのが納得できる。児童もそうだが、保護者は特にうれしいだろう。参加者は、卒業や修了での、子どもたちへの最後の語りについて、具体的にイメージすることができたのではないだろうか。
田村氏は、すでに新年度の学級経営ノートを作成している。その一部が公開された。氏は、脳科学の視点を入れ、学級経営をしていくという構想をもっている。今回初めての試みだという。現状にとどまらず、さらに良い学級にするために、新しい情報を取り入れていく。常に「学び続けていく」ことの大切さを、改めて感じた講座となった。
■参加者の感想■
○人の学級経営ノートを見る機会は他にないのでとても貴重でした。初日の細案など、こんなに細やか準備しているのかと思いました。今日の講座の資料を貼って、早速自分も作ってみたいと思います。
○褒め方、各楽器の指導のポイントは、小中とも柱は似ていると思いました。学年共通の方針を言い続けて終わりにしないで、一つ一つ担任として、本セミナーのように具体的に細やかに、働きかけを実行、継続していきたいと思いました。
○学級経営の重点では、どんなことに気をつけて集団作りをしていけばよいのか、大変分かりやすくポイントを示していただきました。
○「黄金の3日間ノート」は作っていたが、田村先生のように全体構造図を作ったことはなかった。今年度作ってみたい。田村先生の新年度準備に圧倒されました。今までで最高の準備をして新年度を迎えようと思いました。
投稿: 清水 武彦