「チョコレートから学ぶSDGsとグローバル社会」報告書
当日は、まずカカオ豆からチョコレートを作る過程を体験し、ワークショップ、シンポジウムを通して持続可能な開発、地域の活性化、グローバル化社会など今後の社会の在りようについて考えることを目的に、本学の大学生や教育関係者、一般の方を対象に、50名弱の方に参加頂いた。なおSDGsとは2015年の国連サミットで採択された持続可能な開発のための17の国際目標のことである。今回のプログラム内容は以下の通りであった。シンポジウムでは、多様な立場にある5人のシンポジストの方と共にSDGsについて考え、特にSDGs未来都市に選定された豊橋市における現状とこれからの課題について理解を深めることの一助になったと考える。
<プログラム>
①カカオ豆からのチョコレートの作り:英語のレシピを見てカカオ豆からチョコを作る(安達)約2時間
②フェアトレードのワークショップ:団体スタッフから児童労働、カカオ豆の輸入と輸出の現状などを学ぶ(岡本)約90分
③シンポジウム「チョコレートとSDGs―地域活性化、グローバル社会、持続可能な社会を目指して」シンポジスト4名とコーディネーター安達、約2時間
1.【SDGs×豊橋のまちづくり】豊橋市企画部長 木和田治伸
2.【フェアトレードとは】「名古屋をフェアトレード・タウンにしよう会」岡本晶子
3.【久遠チョコレート】ラ・バルカグループ・久遠チョコレート代表 夏目浩次
4.【公立小学校のシステムは持続可能か?】元神戸市立小学校教員 安田万里
5.【CLILとSDGs内容言語統合型学習と持続可能な開発目標】愛知大学 安達理恵
シンポジウムの発表後の意見交換では、豊橋市のSDGsに対する取り組みがまだ十分認知されていない現状があることや、SDGsに民間やNGOが取り組んでもそれを支援する財源や促進する責任者が不在などの課題が明らかになった。また社会に広く周知するためには学校での教育が重要であるが、知らない教員も多く多忙な中では難しい現状も明らかになった。
なお各シンポジストの発表概要は以下の通りである。
豊橋市企画部長 木和田治伸
豊橋市では、様々な方とのパートナーシップを大切に、経済対策や環境保全、開発途上国の水環境改善など、SDGsに関する活動を地域や世界で展開しており、今年7月には、内閣府からSDGs未来都市に選定されました。SDGsは行政だけでなく、私たちの生活に密接に関わっています。そこで、まちづくりの視点から、身近なSDGsをわかりやすく紹介します。
名古屋をフェアトレード・タウンにしよう会 岡本晶子
フェアトレードに関心のある人もない人も、世界とつながって生きています。”誰も置き去りにしない”公正と共生のまちづくりである、フェアトレード・タウン運動。世界で、日本で、中部地方でも広まっているこの動きは、SDGsの描く未来への一つの取り組みでもあります。若者たち中心に名古屋で行われている小さな活動をご紹介します。
久遠チョコレート ラ・バルカグループ代表 夏目浩次
豊橋を本店に、全国24店舗38拠点を展開する久遠チョコレート。230名以上の障害の方や、悩みを抱える若者、小さなお子さんを抱えるママさん、など全国330名以上の多様な方々が働くブランドとして展開をしています。その展開内容と実績が評価され、第2回ジャパンSDGsアワード内閣官房長官賞を受賞。久遠チョコレートの展開内容、事業への想い、目指す社会像について紹介します。
安田万里
日本の公立小学校は「持続可能」なのか?小学校が抱える様々な問題を報告する共に、国の公的教育支出の国際比較、学習指導要領の目標と現実とのギャップ、学校以外の選択肢であるオルタナティブ教育、日本のフリースクールの問題点などに焦点を当て、今後どのような教育システムや思考の転換が必要か考えてみたい。
安達理恵
4人のシンポジストの方の概要をまとめて話した後、SDGsと学習指導要領の関係を簡単に紹介し、今回の研究会の主旨、つまりチョコレートからどう教育に結び付け、さらに地域活性化につながるかを話します。
<パネリスト間で出た質問事項>
豊橋市役所様:今後の進め方として、若い世代などを中心にどのようにSDGsの広がりや継承についての取り組みを考えられているか、教育現場は大変な状況があるが、このような中でSDGsの取り組みを広めるにはどうしたらよいか?SDGsの取り組みを進めている企業に対する支援はどのようなものを考えているか
岡本様:名古屋市をフェアトレード・タウンにするまでで課題だったこと、また現在や今後の課題には何があるか
夏目様:多様な人材育成事業を展開する上での今後の課題、必要な支援は何か
投稿: 安達 理恵