千葉文芸研 2月の講座「おにたのぼうし」

節分直前の2月1日(土)、『おにたのぼうし』(3年)の講座が行われました。
『おにたのぼうし』は、あまんきみこさんという作家らしい、優しさに溢れた作品です。
おにたは、貧しい女の子の願いを叶えるために、豆を残して消えてしまいます。「おにであること」で、悪いものと見られてしまうおにたですが、その女の子のための行為が健気でとても切ない物語です。
3年生の子どもたちが「切ない」という体験は、実際の生活ではなかなかできないでしょう。文芸であるからこそ、体験できるのだと思います。
女の子はおにたのことを〈「さっきの子は、きっと神様だわ。」〉と言います。このセリフは、おにたの行為によって、女の子が幸せになったと読むことができますし、おにたは鬼であるのに、行為は神様のように素晴らしいという意味ととらえられます。
しかし、この「神様」ということが話題になりました。
おにたが女の子に「神様だ」と感謝されることが、果たしておにたにとって幸せなのかということです。
おにたは「鬼のまま」で、「おにたのまま」で感謝されたり、女の子と友だちになれたら、どんなに素敵だったでしょうか。
節分に「鬼は外!」と元気に豆まきをする裏で、「鬼だから悪い」と言われる鬼側の気持ちに寄り添うということは、なかなかしないでしょう。そこがあまんさんのすごさです。
同時に、自分も偏った見方やレッテルを貼って他者を見ていないかと自問してしまいます。
子どもたちにとって大切な主題・思想がある物語であると同時に、多様な解釈ができるということで、教材としての質の高さも確認され、良い学習会となりました。
今回は、初めて先生ポータルを利用してみました。
先生ポータルを見て、初めて参加された方が2名もいらっしゃいました。大変嬉しいことです!
飛び込みで参加も大歓迎です。次回は4月。ぜひいらしてください。
【参加者の感想より】
・聞くだけでなく、しっかり考えながら参加できました。やはり、来てよかったです。授業をするのが、楽しみになりました。
・ひさしぶりに国語の教材分析をしました。読み方、解釈など勉強になりました。子どもたちにもこのように考えさせていきたいと思います。

投稿: 秋山 亮介