終了

演劇教育研究ゼミ(小林志郎ゼミ)シーズンⅡ No.10  *ドラマ、それはアクティブ・ラーニング!*「教育のためのドラマ&シアター・ゲームと即興劇」 「若いパーフォーマーのためのドラマ&シアター・ゲームと即興劇」

開催日時 19:00 21:30
定員 22名
会費一般 1500(内資料代500円) 学生 1000(内資料代500円)円
場所 東京都目黒区祐天寺二丁目6番6号 上目黒住区センター

このイベントは終了しました

 気になるリストに追加
2人が気になるリストに追加
演劇教育研究ゼミ(小林志郎ゼミ)シーズンⅡ No.10  *ドラマ、それはアクティブ・ラーニング!*「教育のためのドラマ&シアター・ゲームと即興劇」 「若いパーフォーマーのためのドラマ&シアター・ゲームと即興劇」

7月のゼミ内容

チューター 圓佛意知(翻訳・編集委員)、福田正治(翻訳・編集委員)、小林志郎
ワークショップで取り上げるゲーム&エクササイズ 
              圓佛(テキスト14番 「動く写真」)
              福田(テキスト21番 「何やってるの?」)
              小林(テキスト 41番「だんまり」、または48番 「ハウス・ツアー」

◇圓佛意知からのメッセージ<「動く写真」>
(1)ビジュアル教材としての「写真」の有用性について
このエクササイズは1枚の写真から物語を推測するエクササイズだ。教材として写真を使用し、そこにあるだろう物語をフリーズ、マイム、思考の探求(thought tracking) という演劇的手法を使って推測し、表現する。

1枚の写真に見られる登場人物の表情やポーズ、位置関係といった外面的な要素から人物の気持ちや考え、状況を推測し、物語を作る(ストーリー・ビルディング)。言葉をヒントにキャラクター作りや物語作りをするのと逆で、人物の表情や立ち位置、全体の位置関係などからキャラクターや物語を作る方法である。このようなアプローチの有用性について「Progression in Secondary Drama 」では次のように述べている。
    『登場人物の内面から身体の動きや表情を作るよりも、外面の要素から内面を探る方が、生徒は自分の感情と直接的に照らし合わせることができるので、このアプローチは見ている者に訴えかけるもの凄い力を備えることになる。・・・このアプローチの方法はスタニスラフスキーという演出家によって発展されたものである。』

また、ドラマは言葉を使った芸術であると同時に視覚的な芸術である。ドラマの授業を発展させるということは、生徒の芸術の視覚的要素に対する気づきの力を研ぎ澄ますということだ。これは以下の点を含む
   ・視覚的な教材(刺激)にドラマを発展させる可能性を見出すことができる
   ・物語から視覚的なイメージを「読み取る」ことができる
   ・視覚的に表現されたイメージに象徴的な価値を見出すことができる 「Progression in Secondary Drama」より。

今回のショート・ワークショップではビジュアル教材を使用する際に気を付ける点、また「ストーリー・ビルディング」をする際の他の教材についても触れたい。
~~シラバス抜粋~~
<1時限目>
1. 4~7名程度のグループに分ける。グループの人数は使用する写真の登場人物の数に合わせる。ただし登場人物より多くても活動は可能なので教師の裁量で決めてよい。     
*多い場合以下の方法などが考えられる(Developing Drama Skills 11-14より)。
①ディレクターとしてアドバイスをする
②写真に写っていない部分の登場人物として参加する

2. 各グループに写真を配る。グループごとにフリーズの用法を使って与えられた写真を再現する。身体的なポジション、互いの位置関係、表情など全てをよく観察し模倣するように指導する。

3. 写真を自分たちで再現し、その身体的な位置や表情から、登場人物がどのような気持ちか、またどのようなことを考えているか、登場人物の気持ち(感情)や考えを表わす言葉を一人一言ずつ、フリーズのまま発表する。あまり時間を与えず、瞬間的に頭に浮かんだものがよいだろう。(数名発表)
 ➡問いかけの例

4. 写真にある状況や登場人物についてグループで話し合う。「いつ、どこ、誰、何を、どうして、どうしたいのか」といった演劇の6つの要素をもとに話し合うように指導する。
 ➡問いかけの例
    
5. 写真が撮られる数分前の状況をフリーズで表し、それぞれの気持ち(感情)や考えを表わす言葉を一言ずつ発表する。
 ➡問いかけの例
   

<2時限目> ウォームアップと前回の復習のあとに行う
6. 写真の状況がどうなるかその結末を探る。

7. グループごとに、「5番のフリーズと一言、マイムで次の3番のフリーズへつなげ、フリーズのまま一言、その後ラスト・シーンへ移る。

8. 活動の振り返り(意見交換、自己評価、他者評価)
① 写真の様子とそこから推測された物語りは関連していたか?
② 推測された物語の登場人物像が伝わったか?
③ 物語りの雰囲気(困っている、悲しい、喪失感、嬉しいなど)が明確に表現されていたか?
④ フリーズという表現方法は、見る側/演じる側にとってどのような効果が期待できるか?どのようなことを表現する/探る時に利用するとよいと思うか?
⑤ マイムという表現方法は、見る側/演じる側にとってどのような効果が期待できるか?どのようなことを表現する/探る時に利用するとよいと思うか?
⑥ 「キャラクターの内面(考えや思い)を一言だけ発言する」という方法、は見る側/演じる側にとってどのような効果が期待できるか?どのようなことを表現する/探る時に利用するとよいと思うか?
⑦ 各表現方法で留意すべきと思う点はどのようなことか?

◇小林志郎からのメッセージ<「ハウス・ツアー」の解説>
 このエクササイズは、ドラマとシアターをつなぐ最高の作品だ。ドラマの訓練にも、シアターの訓練に役立つエクササイズである。また専門学校や学部学生の演技と演出の学習にすばらしい力を発揮する。
 数人でグループになる。ひとりがリーダーである。リーダーは、グループのメンバーを自分のうちへ招待する。すべてが即興、無対象行動で行われる。リーダーは玄関、居間、キッチン、自分の部屋、トイレなどを案内する。家具、写真・絵、花瓶、窓、本棚、食器、冷蔵庫などの場所や特徴を説明する。窓の外の景色をメンバーの一人が語り、次の人が前者のイメージを発展させる。リーダーの説明やメンバーのリアクション・発見から、「どこ」、「いつ」、「だれ」、「なに」、「なぜ」などの情報が蓄積され、創造的な即興への基盤が開拓される。
 授業の発展について考えておく。
 即興の力がついてきた段階からは、キャラクターを導入する。シーンのシチュエーションを決定する。たとえば桃太郎の家、かぐや姫の家、白雪姫の家、醜いアヒルの子の家などを選ぶことが可能だ。せりふを聞き、情報から役を作り、刺激を与え与えられ、じょじょに役を組み立てていく高度なエクササイズとなる。

 シアター教育における「ハウス・ツアー」の活用について言及しておく。
 最後に、このエクササイズは演出の基礎トレーニングとしても使える。私が「演出1」の授業で取り上げたタスクを紹介する。
i. 案内人の分析(身体的フェーズ、社会・経済的フェーズ、文化・教育的フェーズ、倫理・宗教的フェーズ)に関してあらあら検討する。
ii. ツアーに参加する人たちの分析も行う。
iii. 「だれ」であり、「なぜ」ツアーに参加するかを確認する。
iv. 登場は下手からか、上手からか? なぜ下手・上手なのか? 登場の順番はどうして決まったのか? ここまでどうやってきたのか?
v. 玄関を入ると靴などを脱ぐのか?
vi. 構図について検討する。三角形の構図と人物の配置を検討する。
vii. 構図に関しては、演出家がラフな配置図を稽古前に配布し、ツアー参加者に予備知識を与えておく。
viii. 居間には演出家が求める構図が可能なように椅子などを配置する。
ix. 「第4の壁」を学ぶために、居間または勉強部屋の舞台前、すなわち客席側を第四の壁と設定する。
x. 窓の大きさ、部屋は何階か、外の景色、外の音、天候、時刻など、リーダーの説明や俳優たちの想像力が紡ぎ出した台詞によって事実となって観客に伝わる。
xi. 飲み物や菓子のサービスなど、「無対象行動」を取り入れる。
xii. 招待したリーダーは目的・課題は達成されたか? 各役の目的・課題は達成されたか? 
xiii. 構図、第四の壁などの課題はどこまで達成できたか? 演出家や俳優が空間に慣れるには時間と経験が必要である。トレーニングを反復することでスキルの獲得と新しい発見が生まれるだろう。

【ゼミの主テーマの概要】
 ◆ドラマ(教育)の誕生と演劇教育の変身 :ドラマはアクティブ・ラーニング!
 ◆幼稚園・小学校におけるドラマの内容と手法、評価法
 ◆中学・高校における演劇教育の領域、内容、指導法、教材、達成基準、評価についての研究
 ◆俳優養成における演技・演出についての研究

【2016/10〜2017/09シーズンの研究プロジェクト】
Ⅰ 研究発表会の開催(①論文口頭発表 ②ドラマの模擬授業 ③リーダーズ・シアター上演)
Ⅱ 『インプロビゼーションとドラマ&シアター・ゲーム50撰』の編集と頒布 
  (アクティブ・ラーニング、ドラマ教育、THEATRE GAMES FOR YOUNG PERFORMERSへのリソース・ブック)❇︎
Ⅲ リーダーズ・シアター 篠崎隆雄作『教言Ⅰ』上演
   出演者・ 先生:最中 MONACA、 花子:櫻木 良美
   演出・小林志郎
   スタッフ❇︎

【セッション・カリキュラム】
《第1セッション No.1~No.4》
   Drama in Education, Theatre in Education の目的、内容、 手法、評価について
   担当・小林志郎
《第2セッション No.5~No.8》
   theatreの教育・演技・演出の専門家を招聘し、理論や実技の研修
   担当 Dr. Jason Arcari 3月    篠本賢一氏 4月     篠崎隆雄氏 5月
《第3セッション No.9~No.12》
    担当  小林志郎 6〜8月
   ■論文口頭発表(篠崎隆雄、小林志郎)
   ■模擬授業またはワークショップ (子どものためのDrama & Theatre Games、Young PerformerのためのD&TG )
    インプロ・ショップ担当(井上 崇、福田正治、圓佛意知、村上晴彦、最中他)
   ■『インプロビゼーションとドラマ&シアター・ゲーム50撰』
     (エディトリアル・コミティ:福田正治、圓佛意知、小林志郎 
      編集委員:ゼミ員全員)
   ■リーダーズ・シアター 稽古(プロデュース・篠崎隆雄)  

《 ゼミ発表会 2017/09/16》
Ⅰ 論文口頭発表 
Ⅱ 模擬授業 Mock Class《インプロビゼーションとドラマ&シアター・ゲームのワークショップ》 
Ⅲ リーダーズ・シアター 篠崎隆雄作、小林志郎演出 『教言Ⅰ』上演
  出演者 最中 MONACA、櫻木良美

【全12回】毎月 第2木曜開催
※一部の日程を変更しました。
No. 1   10月13日(木) 19:00~21:30(終了)
No. 2   11月10日(木) 19:00~21:30(終了)
No. 3   12月15日(木) 19:00~21:30(終了)
No. 4   1月12日(木) 19:00~21:30(終了)
No. 5   2月 9日(木) 19:00~21:30(終了)
No. 6   3月 9日(木) 19:00~21:30(終了)
No. 7   4月13日(木) 19:00~21:30 (終了)
No. 8   5月11日(木) 19:00~21:30 (終了)
No. 9   6月 8日(木) 19:00~21:30 (終了)
No.10   7月13日(木) 19:00~21:30
No.11   8月10日(木) 19:00~21:30
No.12   9月14日(木) 19:00~21:30
◆◆研究発表会 9月16日(土)午後 

❇︎ 『インプロビゼーションとドラマ&シアター・ゲーム50撰』編集委員を募集している
❇︎ Theatre Technique に関心のあるスタッフを募集している

【講師】
《小林志郎》
東京学芸大学名誉教授・元副学長。有明教育芸術短期大学終身名誉学長。高等教育におけるパーフォーミング・アーツ(演劇・舞踊・音楽)教育のフィロソフィの構築とその実際に尽力。理論の中心は、日本の伝統芸術(能狂言と歌舞伎、日本舞踊、日本の伝統音楽)の基礎教育と西洋の芸術教育との融合におかれた。専門は演劇教育学、現代演出論。本ゼミのトータルコーディネーター。
(特別講師)
Jason Arcari(Rose Bruford College of Theatre and Performance / 慶応義塾大学 / 桐朋芸術短期大学 演劇専攻 / 多摩美術大学)    
篠本賢一(遊戯空間Chairman)他
【お申込はこちらから】
◆専用フォーム
https://ssl.form-mailer.jp/fms/6791d786443698
◆メール
演劇教育研究ゼミ事務局
drama.edu.zemi@gmail.com
(氏名・参加申込回・一般/学生・お電話番号をご明記ください)

 気になるリストに追加
2人が気になるリストに追加

イベントを探す

演劇のセミナー・研究会・勉強会を別の地域から探す

SENSEI ノート