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東京いずみ会(小学校国語)5月例会(第767回) 

開催日時 13:30 16:00
定員20名
会費2000(nen)円
場所 東京都板橋区立板橋第8小学校 

内容 時計の時間と心の時間 6年光村
   授業実践の報告と検討会(各自私案メモをお持ちください)
          
   初心者の方には、参考になることが豊富にあります。
   参加フリーですのでお誘い合わせておいでください。

4月例会(第766回)4月20日 報告
<入門期の指導>
一 みる

 子どもは絵本が大好きです。教科書の絵を好きなだけ見させて堪能させます。
 その間に問答を入れるのです。
 絵を扱いつつ、子どもの知識、概念、生活経験を整理するのです。
 ここで、問答の基本的な躾をきちっと身につけさせます。
 「黙って集中して聴くこと。勝手な発言や、ハイハイとうるさく声を出すことを止めること。発言するときは、挙手して、指名されてからいうこと」を教えます。
 これは、学校生活を通じて守らせたい習慣です。
 
 肝心なのは耳を大切にすることです。
 子どもはわかれば面白いのです。
 自分の考えや知識をきちっと整理してくれる話、納得のいく話を理解します。
 温かいわかり易い言葉で、静かにゆっくり話すことです。
 先生も、子どもの話を落ち着いて注意深く聴くことです。

 躾は、学習の中で必要に応じて行います。
 具体的な活動の中で好ましい行動を教え、習慣づけます。
 「腰を立てること。目をフラフラさせないことなど学習に集中すること」を自覚させます。
 「考えると面白い。そういえば何だろう」と目を見張るような言葉が先生の口から聴ける。
 子ども達は先生の話に聞き耳を立てるのです。
 
 絵に想像を加えたり、動かしたり、広がりを考えたりすることで、観察力や想像力も豊かになります。
 子どもの答えは真剣に気持ちよく受け取ります。
 その上その発言が全員に行き渡るように、先生がもう一遍いってやります。
 意味の通らないような発言であったら、「こういうことでしょう」と補ってやります。
 問いと食い違っていても「ちがう」と素っ気なく切り捨てるのではなく、「惜しかったね」とか、「そう考えたか」とか答えを尊重します。
 
二 ことばのけいこ

 「さあ、先生の口をしっかり見てください」と集中させ、「今出ていた海のことですね」と、「うみ」と口を大きく開けて口形を見せ、子どもにまねをさせます。
 この時、鈴木先生の発明ですが、「、」「。」の所で息を継いだり休止したりするのですが、そこを子どもにはっきりわからせるように、ここで口を結ぶのです。
 このことは、作文を書くようになって、はっきり効果を表します。

 教育は自然が尊いと思います。
 子どもが言葉や行動を習得してきたのも、家庭の中で、周りの大人を見習って、自然に植え付けられてきたものです。
 「ああでもない、こうでもない」と押し付けるのではなく、子どもが自然にそこへ近づいていく意欲を持たせることだと思います。
 
三 かく
 
 今言った言葉を、本を見て書かせます。
 子どもはノートに、教師は黒板に書きます。
 初めのノートは、ますの大きいものか、罫線のないノートを用います。
 せっかく指示しても忘れて、反対側から書き始める子、勝手な所を開けて好きな所に書く子がいますが、文句を言わないことにします。
 板書を終えたら机間巡視して、一人一人のノートにさっと目を通します。
 課題のある子の個別指導は、二回目に書くとき、側に行って手を添えたり、大きく書いてやったりします。
 字形など気にせずに字の格好をしていたら「うまい、うまい」と励ましてやります。
 子どもは友達と比較して自分の書いたものが上手だとか下手だとかは少しも考えません。
 自分も大人のように字を書いたと大満足です。

 こうして、師一回、子一回書いた後は、先生が一人で黒板に書いて見せます。
 皆に見えるように大きく、高い所へ、体を開いて一画一画説明しながら書きます。
 その後、「ここで口を結んだのですね」と、教科書になくても「、」や「。」をつけます。
 今度は、子どもが自分ひとりでノートに書きます。
 こうして師二回、子二回書いたら次はこれを読む段階です。

 この手続きにも深い意味があると思います。
 いきなり子どもに本を見て書きなさいというのは無理だと思って、「うはこうかくのですよ」と始めたくなりますが、
 「先生が教えてくれないうちは書けない」という子でなく、とにかく自分でやってみよう、という態度が即ち自主性ではないのでしょうか。
 「字を覚えさせる、教え込む」という考えでなく「親しませる」という余裕が大事です。
 「自分にも書けたと喜んで繰り返しているうちに、だんだん覚えていき、しっかりとした字になるということだ」と思います。

四 よむ

 ノートも本もしまわせます。

 初めは指黙読です。「さっきのように大きな口を開けて、声は出さないで読みます。
 このとき大切なのがむち(鞭)です。
 一字一字「う」「み」と抑えずに「うみ」と一語にして読むように指します。

 次に皆で一斉に音読します。
 その時、むちが大活躍です。
 読もうとする意気込みを捕らえて声を揃えて読ますのです。
 大きい声、ゆっくり、はっきりという注文を最大に生かすのも先生のむちの先の意気込みです。
 全体の歩調を揃えるのです。

 「あんまりうまいからもう一度」とか「今度は、男の子だけで」とか「次は女の子」とか、何回も読む練習をします。
 声のでない子もだんだん大きい声に慣れてきます。
 子どもの声とむちと、呼吸が合ってくると張りのあるよい声が出ます。
 力いっぱい、皆揃って読んだ声の余韻の残る教室は、師・子共に快いものです。

五 とく

 高学年のように内容をとくのではありません。
 応用といいますが、板書に合わせて新しい字をいくつか書き加えるのです。

 「黙って見ていてください。これ読めるかな」と新しい字を書き加えると子どもは目を丸くして見守ります。
 まだ習わない字でも、複雑な字形でも気にせず短い言葉を添えます。
 文字を覚えさせようとすると、易→難とか、濁点はずっと後とか気を使うわけですが、教えるのではなく親しませると考えればどんどん出しても平気です。
 例えば、最後の「うみ」の上に「あおい」と書いて、「うみ」「うみ」「あおいうみ」と読ませると、大収穫をしたように喜びます。
 よくやるようにノートに「あああ……」といくつも書かせるようなことは、子どもの心に喜びが生まれるわけがないと思います。
 意味のないことを機械的に繰り返すことを鈴木先生は戒められました。

Tさんからのメールの紹介

昨年秋から特別支援教室に入り、子どもたちと密度の濃い時間を過ごしています。
今ではお互いに理解し合ってとても仲良しですが、初めの頃は戸惑うことの連続でした。
なかでも国語のグループ学習では、発音ができない子、文字が読めない子もいる中、どうしたらよいのかと最初は途方にくれました。
頼りはいずみ会です。
まず、子どもの気持ちに会いそうな詩を取りあげたのですが、とても短い詩にもかかわらず1日では終わらないことを知り、黒板に書いた詩を消さずに何日か学習を積み重ねていくことにしました。(少人数教室なので可能でした。)
七変化の教式を基本に、実態に合わせながら指導しました。
また、作文を書こうとすると、同じ一つのひらがなを、大きく濃く用紙の最初から最後までびっしり書く子がいて、「何て書いてある作文なの?」と聞いてみると、とても楽しい内容が分かったということもありました。
大切にしたことは、桐田先生からいつも教えていただいている、今できることを精一杯すれば良いということです。
子どもが精一杯取り組めるように、ということを中心において指導を考えました。
そうしてこの春、一人のお母さんから、「(ずっと読めなかったのに)たった半年の先生の授業で、うちの子は読めるようになりました!」
と伝えてもらいました。
また、新学期になって始めて出会って授業をした子は、授業の終わりには、その時間の最初の読み方とはくらべものにならないほど明瞭に発音できていました。
どちらも教式だからできたことだと思います。
教式の中の、今回は特に指黙読と指音読について、その大きな力を感じています。
こんなことを思いながら、1週間が過ぎました。
実は、4月20日はどうしてもはずせない用事があり、残念ですが例会には参加できません。
きっとたくさんの学びがあることと思います。
様子を教えていただけたらうれしいです。
では、今後ともよろしくお願いいたします。

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